変わらぬ時間を過ごせる喜び

いつだったか、友人が半泣きになりながら電話をしてきたことがあります。これは大問題発生かと身構えたのは一瞬のこと、「この前の番組、録画してない?録れてなかったの」と言うので、安心するやら同情するやら、思わず苦笑してしまいました。どうしてかわからないけれど、タイマー予約がうまくできていなかったのだそうです。興味のない人からすればそれくらいのことで終わる話ではありますが、これはショックですよね。当然私も、経験があります。
幸い私も録画してあったのでそう伝えると、数日後、友人は我が家にその作品を見に来ました。しかも料理好きな彼女の、お手製のお菓子付きです。こちらは撮ったものを見せるだけなのに、なんだか得をした気がしますね。彼女は学生時代のように楽しくおしゃべりをして、ついでに私が集めている小説を借りて、帰って行きました。今まではとうてい縁のなかったジャンルなので、しきりに「こんなのも読むようになったんだね」と驚いていましたっけ。人間年をとれば変わるのよ、などと、嬉しいのかそうでないのかわからない言葉に二人で笑うと同時、それこそ両手の指では足りないほどに長い期間を、一緒に過ごしていられたことに感謝しました。

食事バランスガイドで原点回帰

食事バランスガイドを守ると長生きするという記事を読んだことがあります。文字だけを見た時はなんのことかわからなかったのですが、イラストを見て、なるほどと納得しましたね。それは学生時代に保健室や家庭科室に貼り出されていたものと同じだったんです。
逆三角形が横に四つの層に区切られており、最上部にごはん、次に副菜の野菜など、次がメインの肉や魚、最後が乳製品や嗜好品の絵が描かれています。逆三角ですからもちろん、上から下に行くにつれてスペース、すなわち必要量が少なくなっていますよ。私が幼かった時と違い今は食育教育が熱心で、今は学校で朝食を食べさせるところもあるらしいですから、それを考えると、子供に負けぬよう、大人も再度知識を頭に入れる必要があるのかもしれません。
ただこれらは、祖父母や両親と一緒の食生活をしていれば、自然と身につくものでもあるのですよね。それを考えると、あえてこうして視覚化しなければいけないのは、個食が増えているからかしらと思ったりもします。良いのか悪いのかは着眼点や発想次第というわけです。ただ私は、これを機に、書棚の奥から栄養の成分表を取り出してきました。食事は毎日続ける大切なもの、たまには基本に返るのもいいでしょう。

ひとつの言葉、人によって変わる意味

先日読み終えた諸説の中で、イギリスの車は右ハンドルで、車線は左側通行だと知りました。しかしそれ以外のヨーロッパの国々は、左ハンドルに右側通行が多いのだとか。これほど違ったら運転が大変だろうなあと思うのと同時に、ふと、外国に渡ったら日本の車も『外車』と呼ばれるのだろうか、と思いました。だって『国産車』はその国の物という意味ですものね。当たり前のこととはわかっていても、とても不思議な感じがします。
しかしそう考えると『母国語』も日本では当然日本語をさすけれど、国によって英語だったりフランス語だったりと変わるんですよね。母なる国、いわゆる育った土地の言葉というのは、単一の意味なのに、なんて幅広いものになるのでしょう。今までそんなこと、気付いたことすらありませんでした。
かつて大和言葉に興味を持って、それが載っている本を購入したことはあります。それによると、たとえば『体調に気を付けて』という意味で使う『ご自愛ください』は、『お身体をお厭いください』となるんですって。漢字が続くよりも、柔らかい印象です。丸いひらがなが温かい感じ、カタカナは冷たい感じがするし、毎日使っている者なのに、本当に言葉って奥が深いです。

年齢制限のないプリンセス

先日、造花の薔薇を一輪買ってきました。部屋に緑を置くとストレスの解消になる、難しい人は造り物でもいい、という情報を貰ったからです。花瓶はないので、いつも座る場所から一番見やすいところに、適当に立てておいたのですが、これはとてもいいですね。そこに綺麗な花があるだけで、自分が乙女になったような気がするんです。
もちろん、話を教えてくれた人は純粋に、植物があるといいと言ったことはわかっていますよ。でも、別の意味でも癒されますね。もしかしたら、自分はとても着られないような素敵な洋服とか飾ったらもっと元気になれるかもしれないと考え……ふと、冷静になりました。
確かに子供時代はプリンセスに憧れたものです。しかしまさか、大人になってもその気持ちが残っていたのでしょうか。中学生くらいの頃には、お姫様ではなくどちらかというと騎士になりたかったのになあと、学生時代に読んでいた本の表紙をめくってみれば、やはり格好いい男性が、剣を振るっているイラストがあります。では今はどうだろうと、今度は一番手前にある少女漫画の表紙をちらり。ああ、お姫様ではないけれど、ドレスを着た女性が微笑んでいます。やっぱり私、年甲斐もなくプリンセスに憧れているのかしら。

作家と繋がるインターネット

大好きな漫画家さんのオンライン連載が、週に一度更新されています。楽しみにしてはいるものの、多忙な毎日にどうしても忘れがちなのが、勿体ないところです。しかしその作家さんのSNSやブログをチェックするようになってからは、更新してすぐに必ず読めるようになりました。インターネットで漫画が読めることもですが、こうして情報を知らせてくれるのも、ありがたいことです。
それ以外にも、近況がわかったり、感想を伝えたりすることができ、最近は本当に、クリエーターと読者の距離が縮まっていると思います。先日も、どうしても気になることがあって作家さん本人に質問をしたら、丁寧に答えてくださったんですよ。あれはとてもうれしかったです。連絡をする前には、この言葉が相手に失礼だったらどうしようとか、大切なお時間を奪ってしまうことにはならないかとか、小一時間も悩んだというのに、それがすべて吹き飛びました。
そうはいっても、私とその人は友達ではありませんから、連絡はその時限りです。感想は編集部を通したほうがいいかなと思っているので、手紙を送っています。ただ大好きな方が今何をしているのか、どんなことが好きなのかと知ることができるので、やっぱりインターネットで繋がることは、素晴らしいと感じます。

本と添い寝で腰痛に

先日目覚めた直後、腰に激痛がはしって驚きました。ぎっくりというほどではないのですが、私は一体どんな寝相で寝たんだろうと考えるレベルではあります。ゆっくりと体を起こして布団を見たらなんと、寝ていた下に本と携帯が転がっていました。これがあったから痛くなったのでしょうか。
まさかそんなことでと思いつつも、「夜中気付いたら、ベッドの上に猫が集まっていて寝返りがうてなくて、そのまま眠ったのだけど、起きたら体中が痛かった」と言っていた友人もいたので、可能性としては十分に考えられます。まったく、昨夜の自分を怒ってやりたいです。
幸い本には厚いカバーを付けていたので、どこも折れてはいませんでした。これが雑誌だったりしたら、きっとページがぐちゃぐちゃになってしまっていたことでしょう。いただき物の包装紙を適当に折って作っただけのブックカバーも、なかなか頑張ってくれます。しかし大切な本ですから、今後はせめてもう少し、慎重に扱わなければいけませんね。知人のように、枕元に小さな本棚を作ろうかしら。彼女はそこにお気に入りを集めて置いていて、就寝前にどれか一冊を手に取るのだとか。そこに片付ける習慣がつけば、添い寝はなくなるかもしれません。

ぬいぐるみとイラストでストレス解消

我が家のリビングの壁は今、イラストがたくさん貼られていて、まるで美術館のようになっています。こうなったのは、一冊の写真集がきっかけでした。気晴らしに買ったそれに載っていた猫が、あまりにも可愛かったんです。体温を感じるはずもないのにページを撫ぜているうちに、私はいつの間にか、動物に夢中になっていました。
……とはいっても、いきなり実際に飼うのは難しいですから、手が伸びたのはグッズやぬいぐるみの類です。お蔭で今私の家には、犬やクマ、ウサギにパンダなど、多くの動物グッズが増えました。ビングにあるのは、カレンダーの絵の部分だけを切り取ったものですね。そのまま捨ててしまうのは勿体ないと言いだした母が貼ったものです。
実際に何かの記事で読んだのですが、このように動物を見るだけでも、人はストレスを癒されるらしいですよ。悪い面に現れれば万病を引き起こす源でもあるストレスが、そんな簡単に消えるものかしらとも思いますが、確かに嫌なことがあると、無意識のうちに、ぬいぐるみを抱きしめていたりするんですよね。
あのふわふわした毛が顔に当たっていると、なぜか落ち着くんです。それは私に限ったことではないようで、我が家では家族全員が、ぬいぐるみや毛布を抱きしめて眠っています。

『好き』が繋がるということ

いつだったか、テレビで漫画家の仕事風景を見る機会がありました。最近はパソコンでの作業をメインに行う方も多いと聞きますが、その方は完全アナログ作業。白い紙に鉛筆で下絵を書き、ペン入れをして、ベタを塗ってトーンを貼っていく様子は、まさに職人のようです。これは手先が不器用な私にはとうてい無理だなあと思いながら、感心して画面に見入っていました。
漫画は文字数が少ないですから、小説に比べればずっと短い時間で読めてしまいます。しかしそこに詰まった作家のこだわり、そして情熱と作業量は、驚くべきものなんですよね。それを知ると、自分が持っているコミックスがとても価値があるものに見えてきました。週間連載をしている方などは、アシスタントさんにサポートをお願いするとしても、大変なスケジュールでやっているのではないでしょうか。人気の方はそれを十年以上もこなしているのですから、本当に尊敬します。
テレビに出ていた方は、好きだからこそ頑張れるのだと言っていました。顔の角度ひとつに何時間も悩むのも、苦労してお話を組み立てるのも、すべては漫画が好きで、自分がドキドキしたくて、読者にも楽しみにして欲しいからなのですって。作者と読者の『好き』が繋がるなんて、素晴らしいですよね。

ひとりで見るのに適さない映画

先日、母がノックもなしにいきなり部屋にやってきました。曰く「怖いテレビ一緒に見ない?」と言うのです。母はホラー映画が大好き。以前は夜中にやっているものをリアルタイムで見ていました。しかし好きなのは平気だからではなく怖いもの見たさなので、時々悲鳴があがるんですね。それを家族にうるさいと怒られて、今は録画したものを昼間見るようになっています。その視聴のお誘いでした。その時は気分じゃなかったので、丁重にお断り。ひとりで見れないなら見なければいいのにとも思いましたが、案外怖いけど見たい人って多いんですよね。
私の友人もその一人で、子供の頃はよく学校に心霊写真の本を持ってきていました。これは影なの、それともおばけなの? という写真がたくさんのっている子供向けのものです。一時期はUFOなどを追っていた彼が、今はすっかりホラー映画に夢中。そのくせ夜に見るとトイレに入るときはドアを開けたまま。とにかく個室や暗がりが嫌なので、お風呂はシャワーですますといいます。
母も彼も、私から見ればとても面白いですね。泣くことがわかっていて感動作品を何度も見てしまう感覚と同じようなものでしょうか。それなら少しはわかるのですけれど。

集中して読書だけする

本屋さんで、すぐにでも読みたいと思った一冊を買いました。こういう日に限って、夜は何かと用事があり読み始めることができません。翌日は日曜日だったので、すべての予定をキャンセルしました。朝、スーパーに買い物に行き、食べるものや飲むものを買ってきました。
玄関に鍵をかけ、お湯を沸かし、パソコンを落としてからスマホをフライトモードにしました。私はリビングのソファに座りました。今日は、朝から晩までこの本を読み終わるまで何もしないつもりです。
読み始めると、予想以上に登場人物が動いてくれてページをどんどんめくってしまいます。主人公には、次々と問題や不意打ちが襲いかかります。その度に、家族や友達、恋人が助けてくれるのです。と、わかりつつも物語最大の難問がやってきました。そこで、私は息苦しくなってしまって本を閉じてしまいました。そこまで一気に読んできたのが、ちょっと一息したくなったのです。
数時間集中していたのでのどが渇きました。お茶をいれて、ゆっくりと一杯を飲みました。あたたかいものを飲むと心は落ち着きます。そして、また新しいページをめくろうとソファに座りました。これから、クライマックスシーンと大団円が私を待っています。